スマホカメラの評価機関DXOMARKにて最高得点を得ていたXiaomi Mi 10 Ultraからトップの座を勝ち取ったHUAWEI Mate40 Proが発表になりました。アメリカからの取引制裁を受けるHUAWEIですが、カメラの技術は揺らぎませんでした。2020年10月23日に行われた新作発表会の内容から、どんなスマホか見ていきましょう。
HUAWEI Mate40シリーズはどんなスマホ?
一言でいうなら
LEICAエンジン搭載のカメラ性能抜群のスマホ
です。
外観の違いはあまりないですが、Mate40シリーズのサイズは微妙にMate40が小さいです。
Mate 40 | Mate 40 Pro Mate 40 Pro+ | |
サイズ | 6.5インチ | 6.76インチ |
ファーウェイMate 40シリーズはカメラがスゴい
どのシーンでも抜かりがない4~5眼カメラ構成。4眼カメラは良く見掛けますが、評価機関のDXOMARKでの最高評価のMate 40 Proは今販売されているスマホの中で一番良いカメラと言えます。
カメラ構成
Mate 40 | Mate 40 Pro | Mate 40 Pro+ | |
アウ ト カメラ | 4眼: メイン50MP 広角20MP 望遠8MP(OIS) レーザーセンサー | 4眼: メイン50MP 広角20MP 望遠12MP(OIS) レーザーセンサー | 5眼 メイン50MP 広角20MP 望遠8MP(OIS) 望遠12MP(OIS) 深度カメラ |
フロント カメラ | 13MP | 13MP 3D深度探知カメラ | 13MP 3D深度探知カメラ |
Mate40/40Proの違いはアウトカメラの望遠の強さと、インカメラの3D深度探知カメラ。40Pro/40Pro+の違いは望遠強化してカメラが1つ増えています。
OISとは光学手振れ補正機能の事。デジタル処理で手振れを抑えることに加えて、レンズ自体が揺れを吸収するので長時間シャッターを切る時(夜景などの長期間露光)に有効です。
特徴的なのはMate40/40Proのインカメには3D深度探知カメラが搭載されています。これはiPhoneなどでも最近力をいれているもので、立体の距離感を計るセンサーです。この辺はカメラを見るだけで画面が立ち上がる「Eyes on Display」や「ジェスチャーコントロール」などに活かされていそうです。
イメージセンサーのサイズが大きい
イメージセンサーは写真の描写を映すもの。キャンパスのサイズのようなものです。小さなセンサーにたくさんの色を乗せると隣接する色同士が鑑賞して、精細な色が表現できません。一眼カメラでも一般的にはセンサーサイズが大きいとキレイな写真になります。
Mate40シリーズのメインカメラのイメージセンサーはスマホカメラで評判の良い機種と比べても大きいサイズになっています。
Mate40 シリーズ | Galaxy Note20 Ultra | iPhone12 Pro Max | |
センサーサイズ | 1/1.28インチ | 1/1.33インチ | 1/2.55 x 147% 約1/1.7インチ |
望遠に強い
デジタルズームでは100倍などがありますが、デジタルズームは基本的に拡大引き伸ばしなので画像が荒れていて100倍などは実用的ではありません。レンズが描写する光学ズームであれば画質の荒れも少なく実用的なズームです。
特にMate40 Pro+の光学ズームが飛び抜けています。これだけのズームが出来ると大自然の中の鳥なども撮れそうです。
Mate40 | Mate40 Pro | Mate40 Pro+ | Galaxy Note20 Ultra | iPhone12 Pro Max | |
光学ズーム | 5倍 | 7倍 | 17倍 | 9倍 | 5倍 |
光学歪み補正がすごい
スマホで写真を撮ると中心は正確に写っていても、画面の端が歪んでいることは多いです。スマホカメラの宿命的なもでした。が、この画像端の歪みを補正するレンズが搭載されていて、デジタル処理でなく光学的に補正しています。
上の写真を見ると歪みの補正のすごさがわかります。上記比較に出ているのはMate 40 Pro+とiPhone11Pro Maxです。普段はこんなに線のはっきり入ったモノを撮ることはないので、気が付き難い点ではあります。画面端まで使う集合写真の場合はこうなります。
上の作例は左からMate 40 Pro+、Galaxy Note20 Ultra、iPhone11 Pro Max。この作例を見るとMate 40 Pro+の光学補正の魅力を感じます。
動画のHDRがキレイ
HDR(High Dynamic Range)は色んな機種に搭載されている機能で、写真の明るさが異なる写真を合成して1枚の写真を作る機能です。
写真は明るく撮影すると光で白飛び、暗く撮ると影が強く黒つぶれてしまいます。こんな時は明るさの異なる設定で撮影し、白飛び、黒つぶれを防ぐ画像を合成して作るHDR機能が有効です。
このHDRを動画でも使える機種はフラッグシップ機に多いです。明るさの違う写真のそれぞれの良いところを瞬時に合成して動画を作るのが動画のHDRです。このHDR処理を大きな画像データの4K動画でも行えるのがMate40 Proです。
こうした処理に必要なのはSoCのパワーです。Mate40シリーズに搭載されているSoCはKirin9000。このSoCも特徴の1つです。
Mate40シリーズ搭載SoCのKirin9000がハイパワー
SoC(System on a Chip)とはスマホの処理を支える部品です。1つのチップの中に処理全般を行うCPU、グラフィックの処理を行うGPU、AIによる処理を行うNPU、通信モデムなどをセットしてあるものです。
スマホで最も使われているのはクアルコム社が作るSnapdragonシリーズですが、ファーウェイのスマホにはファーウェイの関連会社ハイシリコン社が作るKirinシリーズが(一部を除き)搭載されています。
現在androidスマホに搭載されているクアルコムの最新上位モデル「Snapdragon865+」です。これと比較した数値をKirin9000は発表しています。
Kirin9000とSnapdragon865+の比較
Snapdragon865+との比較 | |
CPU(8-Core) | 10%処理が速い |
GPU(24-Core Mail-G78) | 52%処理が速い |
NPU | 2.4倍速い |
電力効率 | CPU 25%Up NPU 150%Up GPU 50%Up |
処理速度を数値で測るAntutuベンチマークではSnapdragon865+を大きく上回る結果が出ています。一世代前のMate30に搭載していたKirin990と比べるとさらに大きな進化を遂げています。
SoC | Antutuベンチマーク | 搭載機 |
Kirin9000 | 693,605 | Mate40シリーズ |
Kirin990 | 498,907 | P40・Mate30シリーズ |
Snapdragon865+ | 625,721 | ZenFone7Pro Galaxy Note20シリーズ |
Snapdragon865 | 609,791 | Galaxy S20シリーズ |
現時点で最高の性能を持っているのがMate40シリーズと言えます。
価格
グローバル発表会での価格はユーロでのものでした。さすがのスペックだけあって価格もそれなりに高価。さらに高価なMate40 RSは、PORSCHE DESIGNとのコラボモデルです…個人的にはコラボモデルじゃないデザインが好き。
スマホ | RAM/ROM | 価格 |
Mate40 | 8/128GB | €899 約11.2万円 |
Mate40 Pro | 8/256GB | €1199 約14.9万円 |
Mate40 Pro+ | 12/256GB | €1399 約17.4万円 |
Mate40 RS | 12/256GB | €2295 約28.6万円 |
まとめ
カメラ最高、処理スペック最高のファーウェイ Mate40シリーズ。価格はそれなりですが、その魅力は感じられるスマホです。
ただ、アメリカの制裁のため、ファーウェイのスマホはGoogle Mobile Service(GMS)が非搭載です。Google PlayやGmailがアプリとして使えません。その代わりにファーウェイモバイルサービス(HMS)が搭載されていてLINEなどは使えます。この辺は言わないお約束かも知れないですが、GMS非搭載は手に取りにくい理由になってしまいます。
半年前までファーウェイ機を愛用していた身からすると、少し寂しいです。
今回発表のMate40シリーズ(個人的にRSを除き…)は、デザインがすごく良いです。黒い丸枠のカメラデザインは他にない魅力です。また、色のバリエーションが良い!気になるのはビーガンレザーのイエローとグリーンです。この色はあんまり見ないので気になります。
日本での発売は未定ですが、発売されたら店頭で手に取ってみたいスマホです。
最高スペックの最高カメラのスマホ。取引の規制が強まる中、ファーウェイの意地を見たような気がしました。逆境の中でも、最高のものづくりは胸熱です(制裁の良し悪しは別として)。
ファーウェイはSoCの調達が出来ない中、スマホが作れない、サブブランドHonor売却などの噂もあります。最高のスマホを作ったファーウェイの今後の動向にも注目していきたいです。
関連記事:ファーウェイがHonor売却検討と報道。ファーウェイ規制の理由は?背景は?
HUAWEI Mate40 Series Online Global Launch Event:
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