2020年10月8日に日本でも人気のスマホRenoシリーズを販売するオッポジャパン株式会社が「オウガ・ジャパン株式会社」へ社名変更となりました。OPPOのブランドはタレントを起用し、お金を掛けて育てたブランド。折角認知されているのに新しく社名を変更したのは何故なのか?その理由をまとめてみました。
そもそもOPPOはどういう会社?
OPPOは中国の電子機器メーカーBBK(歩歩高:ブーブーガオ)エレクトロニクスのグループ会社です。BBK自体はスーパーファミコン的(ばったもの)な商品から始まり、電子辞書、DVDプレーヤーなどを製造し伸びて来た会社です。MP3やMP4プレーヤを売り出す際に「OPPO」ブランドにて販売したのがOPPOの始まりになっています。
現在、BBKエレクトロニクスは多国籍の企業を傘下に持つコングロマリットになっていて、OPPOだけではなく、複数のスマホブランが傘下になっています。インドなどで発売された比較的安価なスマホブランド「Realme」、アメリカやヨーロッパなどオンラインマーケティングで成長した高価格帯のスマホブランド「OnePlus」、世界シェア5位のスマホブランド「VIVO」がBBKエレクトロニクスのグループです。
傘下のスマホブランドを合計するとBBKエレクトロニクスは、Appleを抜いて世界3位のシェアを持つスマホメーカーになっています。ちなみにブランド別シェア1位はSamsung、2位HUAWEI、3位がApple(2020年1~3月期)。
中国では一足先にショップ名の変更
今回の社名変更のきっかけとも思えることが、中国では夏に起きています。中国のOPPO公式ネットショップである「OPPOモール(OPPO商城)」は2020年7月に「オウガモール(欧加商城)」と名前が変更になっています。
ショップの名前変更に伴いオウガモールでは、以下のコメントが出ています。
「OPPO、OnePlus、realmeの3つのブランドを統合して、携帯電話、スマートハードウェア、アクセサリー、日用品、その他の製品のワンストップショッピングを提供し、保証サービス、下取り、メンテナンス、その他の特別サービスを提供する」
オウガモールでは、これまで独自に行われていたBKKグループの3つブランドをとりまとめて扱うと発表されました。しかしながら、執筆の現時点でも中国の公式ネットショップではOPPOブランドの取り扱いしかされていませんでした。
ブランド各社の法人としての関係は以下のようになっています。
親会社 Guangdong Ouga Holding
子会社 OPPO(OPPO Guangdong Mobile Communications)
子会社 Guangdong Ouga Communication Technology ← Realme(Shenzhen Ruiermi Mobile Communication)とOnePlus(Shenzhen OnePlus)の親会社
ブランド統合の理由は?
詳しい統合の理由は正式発表がないようです。
ただ他のスマホメーカーを見るとサポートなどのサービスを統合して提供することで合理化を図っているケースはあります。例えば、HUAWEIとhonorや、XiaomiとRedmiなどです。
部品、特にSoCの調達や、製造に関してはすでに連携していると思われますが、マーケテイングやサポートはそれぞれのブランドで展開しています。
マーケティングについてはターゲットが異なるので、それぞれのブランドで行うのはわかりますが、サポートなどは一緒の方が効率は良くなります。またブランドのすみ分けが出来れば、販路の共有も可能になります。
こうしたシナジーを狙っての社名変更と見られます。
そうなれば、日本未参入のRealmeやOnePlusも日本で買える日が来るかも知れません。
Realmeってどんなブランド?
日本には未上陸のブランドなので、あまり馴染みがないブランドです。Realmeはインドなどが主な市場で、インド市場では4位のシェアです。
インドのスマホシェア(2020Q2)
- 1位 Xiaomi
- 2位 Samsung
- 3位 VIVO
- 4位 Realme
- 5位 OPPO
インドでは5Gがまだ導入計画中のため、Realmeの最新機種Realme7iは5G非対応のSoCを搭載しています。現時点の最新機種のスペックは以下になります。
機種 | Realme 7i 2020年10月16日発売 |
参考価格 | 11,999インドルピー 約1.8万円(4/64GBモデル) |
Soc | Snapdragon662 |
RAM/ROM | 4/64GB 4/128GB |
カメラ | 背面:メイン64MP4眼カメラ 前面:16MP |
バッテリー | 5000mAh |
スペックはそれなりですが、通常利用に充分機能で価格は安いです。
Realme公式HP:https://www.realme.com/in/realme-7i
OnePlusってどんなブランド?
日本未上陸のOnePlus。市場規模はシェアランキングに出る程ではないですが、一部のターゲットには人気のあるブランドです。ネットでのプロモーションが得意で、OSの更新対応などが早く、β版の更新も比較的良く配信されます。スマホ自体はフラッグシップからミドルハイクラスのスマホを展開しています。
最新機種はミドルハイのスペックのOnePlus Nord。
機種 | OnePlus Nord 2020年8月 |
参考価格 | 49,200円(8/128GBモデル) |
SoC | Snapdragon765G |
RAM/ROM | RAM 8/12GB ROM 128/256G |
カメラ | 背面メイン48MP4眼 前面メイン32MP2眼 |
バッテリー | 4115mAh |
OnePlusについては関連記事がありますので、詳しくはこちらをご覧ください。
関連記事:OnePlusのスマートフォン
OnePlus公式HP:https://www.oneplus.com/global
なんで今になって社名変更なのか?
OPPOのこのブランド再編の動きに関しては2つ程理由があるように思います。
理由1 米中貿易摩擦でHUAWEIが厳しい
現在安全保障の問題を理由にアメリカを筆頭にHUAWEIとの取引を拒否する事例が世界各国で増えています。アメリカ企業のGoogleからはGoogle Moblie Service(Google Playなどのモバイルサービス)の使用が止められ、Qualcomm(クアルコム)からはSoCの調達が断られ、スマホを作ることが困難になっています。
スマホの世界シェア1位のHUAWEIがスマホの生産が出来なくなった場合、世界のスマホ市場での販売のチャンスになります。そのための準備として販路拡大のため、ブランド統合を日本だけでなく世界的に進めているのではないかと思います。
理由2 OPPOの人事交代
4か月前、OPPOの副社長であるShen Yiren氏が辞任して、Pete Lau(中国読みではLiu Zuohu)氏が後任になりました。Lau氏はOnePlusの創始者であり、Ouga Holdingの副社長です。
OPPOはオフラインチャネルを主軸にしているのですが、ここ2年程は中国内外での売り上げを落としています。一方オンラインマーケティングで成長したのがOnePlus。創始者のLau氏がこれまで行われていなかったブランド統合をオンラインチャネルで展開し始めるのではないでしょうか。
Lau氏がOPPOから離れ、OnePlusを作り、再びOPPOへ戻って来た事。このニュースは中国ではいくつも記事になっています。Lau氏はTwitterで30万以上のフォロワーがいる人気CEOです。
まとめ
OPPOの社名変更について、調べてみたものをまとめてみました。
日本のみならず、世界でのOPPOプロモーションの一環として関連ブランドの統合が行われるのではないか?という推測にいたりました。
OnePlusは筆者の好きなブランドでOnePlus7Tを買っています。OnePlusはハイエンドながら価格的には抑えられていて、OS更新も頻繁なブランドです。いつか日本でも販売されると嬉しいな…という願望も入った記事ではあります。
Xiaomiの安価ブランドRedmi Note 9Sが日本でも人気のスマホになったことを思うと、Realmeシリーズも日本で売れそうな気もします。スマホ購入の選択肢が増えるのは、スマホ好きには嬉しい限りです。
今後のOPPO、オウガジャパンの展開が楽しみです。
記事のソース:36Kr中国版